ヒメユリ

百合小説サークル「ヒメユリ*ひメユり」です。主に活動と百合について語ります。
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オリジナル短編百合小説「熱の花」

高校生です。私自身が女子高出身なので、高校生活は
必然的に女子高のロケーションになります。


「熱の花」


追記からどうぞ



熱の華

  「うわっ楓(かえで)、どおしたの?それ」
  「うん?あぁ…昨日なんだか痒いなぁとか思ってたら、朝、こんなになってた」

 唇の右上にできた小さな水疱。お母さんに聞いたら「熱の花」だって言われた。熱があったり、体が疲れていたりする時に出る出来物らしい。もともと皮膚の弱い私は、こういうのが出やすい体質なのかもしれない。親友の真雪(まゆき)が眉を下げてまじまじと見る。痛そーかわいそーだなんて言いながら。

  「ま、しかたないよぉ。つぶしちゃ駄目だってお母さんに言われたし」
  「うーんそぉなんだぁ。…大変だね~」


 大変なのかな?…まぁ、確かに痒いし、気持ち悪いけど、どこかが痛むわけじゃないし、そんなに大きな物が出来ているわけじゃないからごはんだっってちゃんと食べられる。ただ、ま、しいて言えばキスは出来ないだろうけど…

なーんて…。

 キスする相手。…っていうかしてた相手?とはもう別れちゃったし。別れた原因ってなんだっけなぁ。なんて考えながら授業中教科書をめくる。
 高2の私。親友の真雪。それで…別れちゃった一つ下の上中利伊奈(かみなかりいな)。意地っ張りの強がりで背伸び屋。でもいじらしくて、優しくて可愛い。別れた理由はなんだろう…。なんとなく折り合いが悪くなって、私から言っちゃったさようなら。意地っ張りの利伊奈はあっさりと『あっそ』とだけ言って、私の前からいなくなった。…まるで気まぐれな猫のような彼女。

 *  *  *

  「あれぇ?楓、少し大きくなってない?」
  「え?」

 真雪にそう言われたのはお昼を過ぎたあたりだった。確かになんとなく唇の上の違和感がもっと気持ち悪いものになってる。

  「ほら、みて?」

 真雪から渡されたピンク色の手鏡を受け取り、自分の顔を映し出すと確かに朝よりも水疱が大きくなっている。

  「うやぁ~どおしよう~恥ずかしいかも~」

 真雪に鏡を返して口元を押さえた。…あぁどうしよう…。帰りに病院よろうかなぁ。

  「ねぇ~真雪ぃー今日帰りにさぁ」
  「ごめん!今日はお姉ちゃんと約束してるんだよねぇ、ほんと、ごめんっっ」
  「えぇぇぇ~」

 親友のわたしよりお姉ちゃんを取るんだー!…ショックかも…。

  「あ、ほら、他の子とか誘ってみれば?」
  「あーいや、いいよ、病院いくのついてきてもらおうと思っただけだし…」
  「あーなるほど…、ごめんねー」

 持つべきものは友人よね!なんて誰が言ったんだか…。仕方ない、あまり病院好きじゃないけど、一人でいくかぁ…。はぁ…利伊奈なら心配してついてきてくれるだろうに…。


 放課後、仕方なく家と反対方向の電車に乗り込んで、隣町にある病院を目指す。帰宅ラッシュの時間だから、当然座れるはずもなく、ぼぅっと窓際に立って外を見つめた。…利伊奈かぁ…。

 別れてまだ2週間。事あるごとに思い出しちゃって、なんだか馬鹿みたい。なんで別れちゃったんだろう。…最近同じ1年生の子とやたら仲良くて、それに嫉妬しちゃったのもあるかもしれないけど。でも、なんとなく会話も話題もずれてきて、利伊奈は私と一緒にいても、楽しくないのかもなぁなんて考える事になって…。

 あれ?なに思い返してるんだろう…。

 っていうか…なんかちょっと…体が重いかもぉ…。

 目的の駅について妙に重くなった体をひこずりながら病院を目指す。あぁ、もぉホント、誰か助けてください。ぼんやりとする意識の中、必死の思いで病院へつくとなぜかそこに見覚えのある顔。

  「り、利伊奈ぁ…」
  「あ…」

 でっかいマスクしてこっちをちらっとみた利伊奈。…利伊奈は風邪でも引いたのかな?なんて思った瞬間、気がついたらだんだんと地面が近くなって、体の力がスコンと抜けてしまった。

  「楓ッ?!」



… … …


… … …。


 楓?あぁ…私の名前だぁ。誰が呼んでる?聞いたことある声だよね。って、あ、そっか利伊奈だぁ。


  「楓?大丈夫と?」

 地面の次にはなぜかでっかいマスクをした利伊奈。

  「気がついたっちゃね。よかったー」
  「…なんで利伊奈がいるの?」
  「はぁ?…人の顔みて倒れたンはそっちっちゃろ」

 利伊奈の眉間にしわが入った。

  「で…えっと…私はなにやってるのかな?」
  「そんなん病院に来たっちゃろ?なんかモン凄か熱ばありよるってセンセ言うとっとーもん」
  「へ?なに?ごめん、利伊奈。マスクの上に博多弁わかんない」

 そうそう、福岡から出てきてこっちの高校に来てるから、彼女はたまにものすごく訛ることがある。だからよく、え、なに?って聞き返してたんだ。そのたびにめんどくさそうな顔されるのも嫌だったな、私。 

  「なっっ… … …病院に来たんですよね?凄い熱があるって、先生が言ってましたけど?楓センパイっっ」

 半ばキレかかった感じの声で利伊奈はマスクのままそういった。

  「あはは…マスク外してくれたらさっきの博多弁わかるってぇ」
 と、私は慌てて言い直した。

  「マスクははずさん」
  「なんでー?」
  「……」


 なぜか利伊奈はだまったまま。

  「あ、気がつかれましたー?」

 ちょっと色黒の女性の看護士さんが、まるでアニメに出てくるような特徴的な声で、スタスタとこちらに歩いてきた。

  「以東(いとう)楓さんね、ここに来る前に、熱は測ってみた?」
  「あ、いいえ、学校にいたので…」

 私がそう答えると、看護士さんは胸ポケットからすっと体温計を差し出した。

  「はい、計って。あ、お友達はこっちにかけて待っててね」
  「あ、いや、あの…」
  「それ、音が鳴ったら教えてね~」

 利伊奈がタジろんでいる事を気にもしないで、看護士さんはパタパタとカーテン向こうの診察室に戻っていった。それを見てるとなんだかおかしくなっちゃって、フフっと笑ってしまった。

  「なんよ?」
  「利伊奈が可愛い」
  「っ!!…か、帰るっ」
  「あぁっ待ってっ…あっつつつつつ…」

 席を立った利伊奈を引きとめようと、体を起こしたら頭がズキンッと脈打った。

  「あぁ、もう、起きたらあかんとよ」
  「ん…」

 利伊奈に支えてもらって再び横になる。背中に利伊奈の手を感じた時自分でもびっくりするくらいドキッとした。…。なんで?

  「…たぶん、楓風邪っちゃろ」
  「え?」
  「あたしも3日ほど前に直ったとこやもん。それ」

 そう言うと、利伊奈は私の唇を指差した。

  「あたし、ずっとガッコ休んどったと…」

 そういいながら彼女はさっきの椅子に腰掛けた。どうやらもう少し側にいてくれるみたい。

  「あたしは高い熱が出て、なかなか下がらんかったけど、楓はひどくなる前に病院来たけん早く直るっちゃろ」

  「うん」

 利伊奈、上中利伊奈。一つ下の女の子。私の元カノ。私からやめちゃった。…でも…なんだか…。

  『ピピピピっ』

  「あ、鳴ったとね。呼んでくる」
  「あ、待って」

 私はとっさに利伊奈の服の袖をつかんだ。

  「なん?」
  「利伊奈…あのね」

 …私、どうしたい?…うん、もうわかってるんだ、もう一度利伊奈の彼女になりたい。でもそれって、わがままだよね?…利伊奈にどう伝えたら良いのかな?

  「なんよ?」
  「…利伊奈はなんで怒んないの?」
  「はぁ?」
  「私が我がままばっかり言ってさ、そんで楓から勝手に別れよって言ったのにさ。で、都合よく、なんていうか…」
  「…。別に」
  「別にってぇ~」

 私はつかんでる利伊奈の袖をぐっと自分の方に引き寄せた。

  「わっとととっっっ」

 よろけつつ体の小さな利伊奈はいとも簡単に私の膝の当たりに乗っかる。

  「なにするとぉ!」
  「こうするとぉ!」

 勢いに任せて訳のわかんない博多弁(多分)をいいながら利伊奈を抱きしめた。

  「私、やっぱり利伊奈が好きなんだもん」
  「自分から別れるって言うた癖に」

 耳元で聞こえる利伊奈の声。ズバリ、私が悪いって攻められているのに、久々に近くで感じる利伊奈の声に、じわんっと心が安心する。

  「うん」
  「あたしのこと、嫌いって言ったくせに」
  「うん。…でも好き」
  「勝手」
  「うん」

 しばらくすると利伊奈の腕が私の背中を包んだ。

  「でも…、でも、あたしは好きやから、楓のこと。やから、待っとくつもりやったと」
  「え?」
  「…だから、利伊奈は楓を好いとーもん」

 その言葉に体中の熱が一気に上昇する。ドキドキもひどくて、何かがこみ上げてくる。それから私は自分の行動を反省する。私は馬鹿だな、と。こみ上げて来た気持ちが我慢できなくなって、涙が出そうだったから、私はそれより先に、自分の素直な気持ちを彼女に伝えた。

  「利伊奈ぁ~。大好き」
  「うん、あたしも。…でもその前に」

 そう言うと利伊奈はぱっと私から離れて、いつの間にか脇に落ちてた体温計を拾ってチラッと見て、ふぅっとため息をつく。
 
  「これ、直さンとね」  

 そう言って私に数字を見せた。

  「さ、39度ぉ?!…うぁわあぁっ…はふっ」

 数字を見たとたんに体が重くなって、頭がグラグラした。私は思わず叫んで、そのままベットに倒れこんでしまった。

  「あぁっ楓っだいじょーぶ??」
  「うん。利伊奈が側にいるからぁ…」

 あ、だめだ。意識が…。


  「せ、せんせー!!楓がぁぁぁ」

 なんて叫ぶ利伊奈の声が遠くに聞こえながら、私はゆーっくりと暗い中に落ちていった。

 
 *   *   *


  「…で?」
  「んー?だからぁ~そういうわけで、私と利伊奈はもう一度お付き合いすることになりました♪」

 あれから3日後。
 私の熱は2日で引いて、本日から無事登校。さっそく真雪に利伊奈との事を報告する。取り合えず、びっくり顔から呆れ顔、そしてニヤリと笑う真雪の百面相を堪能できた。

  「まぁ真雪のおかげだよね」
  「へ?なんで?」
  「だってー、真雪が付き添ってたら、利伊奈ちゃん、楓のこと放って帰ってたと思うし♪」
  「だから!1階の自販でイチゴオレおごってね♪」
 
 こ、こぉおおいいつぅううう!

  「真雪っ!」

 真雪をつかんでガクガクとやってると、へらへらと笑っていた真雪が突然叫んだ。

  「あっ、楓、利伊奈ちゃんっ」
  「へ?」

 真雪が指差す方向に振り向くと、教室の入り口できょろきょろしてる利伊奈。

  「あっ利伊奈ぁ!!!」
  「かえ…んぇっわわっっ」

 私は利伊奈向けてダイブする。ちっちゃい利伊奈はよろけながら私をキャッチする。そのまま私は利伊奈をぎゅっと抱きしめる。

  「は、はずかしかよ!楓っ」
  「いいのぉー」

 じたばたと嫌がる猫の様な利伊奈をぎゅっと抱きしめて、閉じ込める。もぉ何があっても別れるなんていわないもん。私は利伊奈が大好き!


おわり。


from 弥家比奈 2011.6.23
似非博多弁でもうしわけないですw標準語に直そうとも思ったのですが、
このままの方が可愛いかなとか思いまして、そのままでリテイクしました。
この面子でもう一本ぐらい別のお話書きますよー、たぶんww
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