ヒメユリ

百合小説サークル「ヒメユリ*ひメユり」です。主に活動と百合について語ります。
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オリジナル短編百合小説「Silent Voice」

毎日ひとつ~ショートストーリーランランラン♪www

このサイトやって初めてかもしれない、エロシーンがある小説です。
かなりエロと書きましたが…自分基準なのでwwあまり期待されると
ナンダカナーとかw

百合よりビアンです。抵抗のある方はご遠慮ください。

「Silent Voice」【R18】

追記からどうぞ

※注意 R18 ■注意!かなりエロ有り、百合よりもビアン的■

「Silent Voice」



 暖冬だね~なんて言われてたあの年の11月。大学院行きが決まってたあたしはバイトもそこそこに学校の図書館へ 行ってはネットのコミュニティサイトをふらついていた。
 丁度2ヶ月程つき合っていたアヤカと喧嘩別れしたばかりで、寂しさ紛れに出会い系のサイトで適当に募集をかけたりしていた。で、返事というものは忘れた頃にかえってくるもんで、一週間位して突然それはやってきた。
 相手は、1つ上の社会人。名前は…里佳(りか)。 一応里佳さんと呼ぼうとしたけど、『敬語とサン付けは嫌だ。』 というわけで呼び捨てにすることにした。

 いまどき珍しくケータイをもたない彼女とはもっぱら日中メールではなく、メッセンジャーを通して話をすることになっいた。

 * * *

 rika 『やっほ。仕事ひと段落!』
 mari 「お疲れ」
 rika 『なんかね~mariの事ばっか考えててさ…(´ヘ`;)』
 mari 「ほれちゃった?w」
 rika 『あっ Σ(゚Д゚) そーかも(*゚ー゚)』

  実際に会うことがない、無責任なこの雰囲気は、普段自分が隠してる部分を開放できるような気がして凄く楽しかった。もしかして相手男かも?とかおもってたりもしたけど、多分それはイーブン。向こうも同じだったと思う。

 それから毎日決まった時間におたがいメッセンジャーをつないで話をしていた。好きな音楽。好きな映画。好きなマンガ。おいしいお店。なんて最初はなんとなく上辺っぽいところから始まったけど、だんだんと、友達の事や、今までの恋愛や、自分がどんな人間なのかなんてのも打ち明けて行く様になった。
 
 そこでわかったのは里佳には彼氏がいるということだった。確かに、友達募集のページで募集かけたんだから、所謂「その気のない人」と出会う事は十分想定出来ていたけど、まぁ、初めて聞いたときはちょっとショックだった。彼女本人は「性別とかあまり気にしないから」なんて言ってるから、あたしとはちょっと違う、どっちでもOKな人のようだった。
 それでもなんとなく文字だけの彼女に弾かれて行く自分がいると言う事に気がつくまで、そんなに時間はかからなかった。 

 rika 『なんだか、mariの事好きになりそう。冗談抜きで』
 mari 「…ま、あたしの方はいつでも歓迎w」
 rika 『ほんと?』
 mari 「さぁ~」
 rika 『もぉ!』

 な、感じで…里佳自身も、だんだんとこんな事を書いて来るようになって、お互いに、どこまでが本音でどこからが嘘なのかわからない、駆け引きのような擬似恋愛をし始めていた。

 でも、そんなある日。いつものようにメッセをつなげても彼女はやってこなかった。

 mari「おーい。…どーかした?…仕事いそがしい?」

 そう入力してから30分程たってやっとレスが返ってきた。

 rika 『いるよ…』
 mari 「どうしたの?」

 しばらくまた画面がフリーズする。ほんの2.30秒の間だけどあたしの頭の中でいろんなことを考えた。実は男だったとか、既婚者なんだとか、もしかしてどっきり!?とか…ま、色々。

 rika 『あのね、私、実は耳が聞こえないんだ…会うこと無いと思ってたからだまっておけばいいかなって思ってたんだけど』

 その先は聞かなくても分かった。なんとなく気がついていた。あたしも、里佳も、これが擬似的な恋愛ではなく、本当にお互いを好きになり始めているということを。

  mari「そっか…うん…あたしは気にしないよ、そんな事で嫌になったり、嫌いになったりしないし。むしろ、打ち明けてくれた事がなにより嬉しい、ありがとう」

 その時は本当にそう思ってた。過去に何度か難聴の人と一緒に遊んだり、レポートやったりしていた。だから接し方だって他の人と変わらない。

  rika  『…ありがと…。』
  mari 「いえいえ☆」
  rika 『仕事中に泣いちゃったよ、バカ。』
  mari 「あ~また女の子泣かせちゃったw」
  rika 『罪なお人だわぁ』
  mari 「お、なんかそれいーね。ジゴロっぽくってさ」
  rika 『ジゴロなの?』
  mari 「まさかっw」
  rika 『でも、モテそ』
  mari 「どーかな?」
  rika 『……あーもぉ、すっごく』
  mari 「…なに?」
  rika 『会いたくなったっっ!』
  mari 「…うん。いいよ。あたしも会いたい。」

 タイピングするたびに手が震えていた。
 今までになくドキドキしていた。
 だんだんと素直になっていく、
 だんだんと姿が見えてくる、
 そんな里佳にあたしはすっかり心を奪われていた。

 rika 『でも…』
 mari「なに?」
 rika 『メッセみたいにお話できないから。』
 mari「手話?」
 rika 『いや、読話。唇の動きで理解するの。』
 mari「大丈夫、じゃ、メモ帳とボールペンたくさんもってくよ☆」
 rika 『めんどくさくってごめんね』
 mari「気にすんな。」

 あたしが学生という事もあって日にちの融通がつき、ホイホイと段取りは決まった。

 * * *

 待ち合わせはあたしが住む町の駅。あたしは一人暮らししてるから、だからそこで今日は過ごす事にしていた。

 ケータイを持ってない意味。なんとなく聞いたら耳が聞こえないのにもっててもショウガナイ。
って。でもメールはできるよ?ってきくと、でも…つらいから。と。
 12歳の時に高熱に犯されて聴力を失った彼女が電話というものに、劣等感を感じるのも、なんとなく分かる。電話は耳が聞こえなければ話もできないんだから。


 すこし早めに着きすぎてしまった駅にぼーっと座っていると次の電車が止まり、乗客がわらわらと降りてくる。そしてその中にひとり彼女はしっかりとした足取りで歩いてきた。こうしていると本当に耳が聞こえないなんてわからない。
 あたしが手を振ると彼女はぱっと顔をあげて笑って小走りにあたしの側に駆けてくる。
ほんとは抱きしめたい衝動に駆り立てたれたけど、人がたくさんいるからここは我慢をした。

 無言でぺこりとお辞儀をする彼女にあたしもつられて無言でお辞儀をする。「さ、いこう」とゆっくり目に口を開いて彼女の手をとった。
 とりあえず、メモで書きあいながら会話をしメッセンジャーで話題になった懐かしいゲームなんかを引っ張り出してきては遊んだりして時間を過ごしていた。

 あたし達はメッセンジャーで十分すぎるほどお互いの気持ちを分かっていた。だから、会話が途切れた瞬間に、当たり前のようにどちらからともなくキスをした。彼女の頬に手を伸ばそうとしたら補聴器にあたっておちてしまった。

 「あ、ごめん」

 慌てて拾うと彼女はにこっとわらって首を横にふった。そしてあたしの腕をつかんで掌にスルスルと細くてきれいな人差し指で文字を書いていった。

 「ど・う・せ・い・み・な・いか…ら。…そうなの?」

 彼女はちょっと困ったようにわらってうなずく。そしてあたしに抱きついて今度はあたしの背中に指で言葉を綴る。

 続きして?と…。

 あたしよりも彼女方が大胆で、我慢できないくらいあたしのことを思っていたという事に驚いた。めちゃくちゃ。あたしは静かにうなずくと、彼女をベットに連れて行った。
  恥ずかしそうにぎゅっと抱きついてくる彼女の腕を優しく包んで、ゆっくりと力をかけて腕を解く。まるで猫の毛のようにフサフサしたファーがネック周りについてる真っ白なセーターを下着と一緒に上にめくると少しだけ顔を背ける。

 愛しくて堪らなくて少し小ぶりで硬い胸に吸い付き、指でなでる。

 喘ぐ時だけ少し聞こえる彼女の声はとても可愛らしく、それが聞けるということが凄く嬉しくて何度も彼女を上りつめらせた。すこし真っ白な肌が汗ばみ、声を失った唇がいやらしく動く。
今日という日が終わらなければいいのに。こうやって体を重ねて、重ねて、重ね続けて…。

 彼女を愛せる事を幸せに感じていた。

 月に2度。あたし達は会って体を重ねる。
だんだんと指先で掌に文字を書くことも読むことも慣れてきて、あたし自身は凄く幸せだと思っていた。

 あたしは大学を辞めて彼女のところに行こうかと本気で迷ったり、彼女も会社を変わってあたしの近くに行く事も真剣に考えていた。

 お互いが、お互いを深く愛していた。

 だけど、愛しすぎていた。それに多分この時里佳は気がついていたんだろう。


  mari「次が待ち遠しい」

 いつもの様にメッセンジャーにあたしから文章を打ち込んだ時、明らかに彼女の態度がいつもと違う感じに捕らえられた。

 mari 「?どうかした?」
 rika 『ちょっと…ね…』
 mari 「なに?」
 rika 『私…手術してみようかと思って』
 mari 「え?」
 rika 『耳、完璧じゃないけど聞こえるようになる手術。実はもう随分前からお医者さんには進められてたんだけど…』
 mari 「どうして?突然。」
 rika 『茉莉(まり)と話がしたいの。』。
 mari 「…その気持ちはすっごく嬉しいけど。無理はしなくてもいいんだよ?あたしは今でも幸せだし。」
 rika 『ありがとう。…でも茉莉と出会って私、今まで逃げてた自分とちゃんと向き合ってやっと直そうっておもったの。』
 mari「そっか…わかった。里佳がそうしたいならそうしなよ。」

 正直ちょっといやだった。耳が聞こえるようになれば彼女の世界は広がる。そうするとあたしなんて要らなくなるんじゃないかとか、今耳が聞こえないせいで、あまりうまくいっていない彼氏と
うまくいってしまうんじゃないか…とか…。

 rika 『でも、時間がかかるから、…その間にこうやって茉莉に会うと甘えてしまいそうで…』
 mari 「?治療、そんなにつらい?」
 rika 『楽ではないかな。』

 何もいえなかった。あたしと彼女が住んでいるところは近いようでも裕に電車で1時間近くかかる。なにかあったらすぐに飛んでいけないし、お互いに学校・会社というそれぞれの生活があるので、いつも一緒にいるわけには行かなかった。

 mari 「どれくらいかかりそう?」
 rika 『わからない…』
 mari 「そっか…」

 里佳がこのとき何かを決心していたのは分かっていた。それに里佳の性格上それを曲げるという事もないってのもわかっていた。だからあたしは彼女が言う前に言った。

 mari「あたし、待ってるから。里佳が帰ってくるの、待ってる。」

 しばらく時間があいて

 rika 『だめ。待ってなんて言えないから。』
 mari「いいよ、あたしが勝手に待つって言ってるだけだから。」
 rika 『駄目。』
 mari「あたしの勝手だよ…もし、…もしさ、桜の頃にさ、帰ってきたら一緒に桜の花をみにいこう?」
 rika 『………約束…できないよ…』
 mari 「いいからっ!それでも、いいからっ」
 rika 『…うん、ごめん』

 それが、彼女との最後のやりとりだった。
 あたしはなんとなく分かっていた。彼女はもう戻ってこないって。あたしと体を重ねるたびに漏らした口癖。

 『幸せすぎて怖いの』

 そう、彼女は怖かった。このまま先の見えない海へ沈みかけそうな船に乗って進むのが。もちろん、あたしも、心のどこかでそういうところがあったのだと今は思う。

 

 
 * * *

 

 里佳があたしの前からいなくなって、あっという間に月日が流れた。あたしは研究室に篭り、もくもくと研究をしていた。何か、自分がすっかりヌケガラのようになってしまっていた。

 どうでもよかった。あたしには里佳さえいればそれでいいと思っていた。


  「あっ茉莉さんっ!!」

 コンビニに夕食を買い出しに言った帰りに、突然声をかけられた。声の方に振り向くとなんとなく見覚えのある顔の子がいた。確か、前に所属していた大学のサークルで、以前何度か一緒に遊んだ3つ後輩の子。名前は葛崎絵里(くずさきえり)だっけ。絵里って名前の子がサークルに2人いて、エリザベスって呼んでくださいっって自分からいっちゃったちょっと不思議なやつだ。

 「お久しぶりですね!最近どうですか?」
 「へ?」
 「なんか、元気ないみたい」
 「そ?」

 驚いた。結構鋭い。

 「あ、そうだ、今度景気付けにぱーっと飲みにいきません?」
 「えぇ?…んー」

 なんとなく飲みたい気分ではなかったけどま、OKをしておいた。たまには忘れないと。里佳のことを…。



 *  *  *


 絵里の誘いで二人だけで居酒屋に来た。もっと女の子らしいところかと思ったら、焼き鳥屋。
そういうとこが今までの子と何か違ってちょっと楽しい。

 「茉莉さん、なんか変わりましたよね」
 「え?そうかな」
 「うん、なんか前はちょっと、軽いノリのお姉さんって感じだったけど、今は…うーん、なにか思い詰めてる感じがします」
 「…アハハ、君は占い師かなにか?」

 あまりにも的確な指摘だったので思わず笑ってしまった。
 
 「えへへ、才能ありますかねー?」

 彼女はそう言いながら生ビールをゴクゴクと飲む。低めの身長のせいも手伝ってか、見かけは可愛らしくて、ふんわりしている雰囲気があるのに、しゃべると結構豪快な事がよくわかる。今までつき合って来た女の子とは全然違うタイプ。

 「へー。好き同士でも別れちゃったりするんですね~。」
 「まね。」

 雰囲気に流されたのか、あたしは気がつくと里佳との事を絵里に打ち明けていた。里佳の事。確かに二人共に思いあっていたのは間違いない。だけど、どうしても一緒にはいられなかった。感情が幼すぎた。そしてあたしの勇気も、彼女の勇気もまったく足りなかった。

 「葛崎は?」
 「んー、そういう経験はないですねぇ、もう長い事人を好きになってないですし」
 「なんで?」
 「前の人の事、凄く好きで、すっごく優しくて、マメで…でも、その人は誰にでも一緒だから浮気しちゃうんです、で、新しい彼女いるのにもかかわらず私と平気でエッチとか…」
 「へぇ」
 
 ちょっとアヤカを思い出してしまった。…最後に似たようなことを言われたっけ。…あれは今思うと確かにあたしが悪い。今ならそういうこと、しないだろうな。

 よくよく考えてみれば、あたしは人を大切にする事、里佳に教えてもらったみたい。

 「だからね、そのときに一気に覚めちゃって、それ以来彼氏いないですね」
 「そっか…でもほら、今気になる人くらいいるんでしょ?」
 「うーん…実は……年下なんですけどね、へへっ」

 少しはにかんでフニャリと笑う。…だね。普通は男の子好きなんだよね~女の子ってもんはさ。

 「もお!私の話はいいんですぅ!茉莉さんの続き。聞きたいのっ」

 せせりにかぶりつきながら彼女は上目遣いで言う。

 「あーあたしはー…うーん…ま、一応、その人の事は待ってはいたんだけどね、でも、結局連絡は来なかった。…うん、これからもこないかな」
 「…もぉ、忘れたほうが良くないですか?…忘れて新しい人…」

 酔っているのか、彼女は目をうるうるさせてまっすぐな目であたしの方にグイッと寄ってくる。
 …あーもぉ、勘違いするからやめてくれ…。

 「あたしは、ほら、なんつーか、むずいんだよね。新しい人を探すの」
 「なんでー?こんなにすっごくきれーな二重だし、色も真っ白だしぃ」
 「うーん…恋愛対象がね…」

 もういいや、言ってしまえ。…あたしもそうとう酔っていた。もしくは雰囲気に連れて行かれたのか少し声のボリュームを下げて打ち明けた。

 「女の子なんだよね。」

 引くなー。絶対引くなー。そう思ってたけど以外にも

 「あ、そーなんですかー?」 と、けろっとして返ってきた。

 「あれ?」
 「私別になんとも思いませんよ?ただ、私は女の子を好きになることはないですけどね」

 と、かるーく肯定されて、否定された。…なんだかな…。

 「でも、本当にいい人見つかるといいですね~ほら、…意外と近くにいたりするもんですよ」

 そういうと彼女は残っていたビールを一気に飲み干した。やっぱり少し動揺したのだろう。でも、それを気づかないように傷つけないようにしている彼女のまっすぐな優しさが伝わってきた。

 「ありがと」
 「え?何がです?」
 「いや、すこし楽になったから、気分」

 とにかく、頭の中から少しの間でも里佳のことを忘れる事ができて、結果あたしにとっては久々に楽しい時間を過ごせた。

 絵里と飲みにいってから、しばらくは元気にいられたのだが、やっぱり里佳を思い出してしまう自分がいた。もう、これは一生直らないかもしれない。
 それから何人かと付き合っては見たものの、やっぱ続かなくてだんだんとあたしは人を好きになることをあきらめていった。


 *  *  *


 「あ、…茉莉さん…」

 資料室でひとり、ばたばたと無心で資料をかき集めていると、声をかけられた。束になった資料を持ったまま振り返ると絵里が浮かない顔して立っていた。

 「あ、元気?その後は?」

 なるべく元気そうに振舞ってみたものの、彼女の顔はいっそう険しくなる。

 「どうしたの?」
 「茉莉さん、ちゃんと食べてますか?」

 正直ここ何週間も食欲がガタっと落ちてしまって、食べない事が多くなっていた。

 「もう、見てらんないっ」
 「え?」

 そういうと絵里ががばっと抱きついてきた。

 「な、なに…」
 「いやですっ茉莉さんが消えてくみたいで!」

 細くて小さな体であたしを必死に抱きしめるからちょっと嬉しくて、頭をなでてやるとぱっと顔を上げてまっすぐとあたしを見た。

 「私じゃ、駄目ですか?」
 「え?」

 この間と同じ様にうるうると目を潤ませながら下からじっとあたしの顔を見上げる。…でも、あたしはすぐに返事できなかった。

 「私、ずっと好きでした。茉莉さんのこと。」
 「絵里?」

 どん底にいたあたしの心を救いとる様に、手を差し伸べる。この手を取ってもいいのだろうか。…ね、里佳、このコでいい?

 「お願い、ちゃんと前を見て…」

 その声に顔を上げると間もなく唇に温かい感触を感じた。このまま受け入れてもいい?頭の中でボーっと疑問がぐるぐる回る。里佳?失った音にあたしの声は紛れていたのかな?心臓の音は彼女に届くのかな?

 ね、もうそろそろあたしも自分の未来を夢見ていいのかな?

 ゆっくりと体重をかけてあたしの方へ唇をつけたまま倒れこむ。
 割と積極的なんだな~とか頭の隅っこで考えられる余裕ができていた。あたしの上に馬乗りになっている彼女を見上げると長いまつげが少し震えていて、ほんのちょっとあいている薄めの唇は、とても3つ下だとは思えない程妖艶だった。

 導かれる様に腕を伸ばしてざっくり目のセーターの中に手を入れる。少し彼女が目を細めたのを確認してぐいっと自分の方に抱き寄せる。あたしの胸の上でがたがたと震えているのがわかった。
そっか…。このコはあたし達がもてなかった勇気を持っているんだね。わかったよ、ごめんね、里佳。あたしはこのコと行くよ。ちゃんと幸せになるから。

 「抱いてくだ…」消える様な小さな声で彼女はあたしの胸に顔をうずめる。
 「だめ」
 「えっ」
 「ここじゃ、駄目…いこう。」

 あたしは彼女をさらう様に抱き起こして資料室を後にした。


 そのまま家につれて帰り、玄関のドアを閉めるなり、もつれ込み、奪い合う様にキスをする。いつもの無邪気な彼女のイメージを剥ぎとる様に服を脱がす。羞恥の波に襲われた彼女は一度顔をそらした。

 「いや?」
 「ううん。…はずかしぃ…」

 胸の前でクロスしている腕をゆっくりとほどいて胸の先端に唇をつける。

 「ぁっ」

 短く喘ぐ彼女の声を聞こえなふりをしてそのまま舐める。ビクッと震える彼女の腰を捕まえてスカートのすそから手を入れる。もうすでに立てなくなっていた彼女を抱えてゆっくりとベットへ押し倒す。

 「女の人と…したことないから…」

 申し訳なさそうにそうつぶやく彼女に無言でうなずいてやり、今度は不安げな唇にできるだけ優しくキスを落とす。そのとき、ポロポロと彼女の目から涙がこぼれているのがわかった。

 「…どうした?…抵抗、ある?」
 「ううん、ちがくて……すごく、うれしくて、茉莉さんと、こんな…。」
 「もういいってば…ありがとう」

 顔を近づけるとゆっくりとまぶたを閉じてく彼女に、あせらないようにキスをした。大事に。大事に…。

 「あ、あぁっっ」

 弾みあがる彼女の声にあわせて動きを早めてく。とろとろした彼女の体液を指先に絡めて擦りあげる。淫靡な音と一緒に腰が浮き上がる。

 「あぁぁっ…茉莉さんっ…茉莉さんっっ」

 必死にもがき、宙を舞う右手をしっかりとつかんで、そろそろくる、大きな波に向けて、つっぷりと指を中に突き立てる。

 「ふあぁぁぁー!!」

 急に腰が跳ね上がったので思いのほか、指が中にズブリと入り込む。そのとたんに彼女が物凄い勢いであたしの指を締め付けてくる。

 「い、や…うごか…ないでくださ…」
 「だーめ。」

 片手で彼女を抱きしめて彼女の中にある指を前後に出し入れする。ちょっと意地悪だったかもしんない。けど…これで精一杯なんだよ、あたしも。精一杯愛してあげたいから。

 「あ、あ、ヤッ!! だめぇっ… あぁぁっ」

 腕の中で暴れる彼女をしっかりと抱きしめて最後まで連れて行く。

 「も、…もぅっっ  い、っ…!!!!!!!!!!!!!」

 がたがたと痙攣してあたしにぎゅっとしがみ付く。

 「いいよ。大丈夫。イキなよ」

 耳元で囁くと何かから放たれたように大きくはじけて彼女はぐにゃりと力尽きる。

「大丈夫?」

 汗で張り付いた前髪を掻き分けてやると、呼吸を整えながら、彼女はにこっとはにかむ。

 「葛崎」
 「…っえ、絵里ですっ」
 「…絵里」
 「はいっ」
 「ありがと」
 「…もぉー!!!はずかしいー」

 腕にグリグリと真っ赤な顔を押し付けてくる。久々に幸せだと思っている気がした。…でも…半年前の絵里の言葉が気になった。

 「ね、前にさ、好きな人は年下だとか女の人は好きになりませんとか言ってなかったっけ?」
 「あーっそれは…」

 それはあの時、あたしに告白しても断られるの分かっていたし、多分あの状態で付き合ってもすぐに駄目になっていたと思ったから。だから正反対を羅列した…そうだ…。変に賢い…。

 「でも、私ずーっと待ってたんです」
 「ん?」
 「吉澤さんが現実の、自分の場所に戻ってくるのを」
 「絵里…」

 鼻の奥の方で痛みが生まれる。里佳を失ってから初めて涙がこぼれる。もう、枯れたかとおもっていたけれど…。こんな風に幸せに涙を流す事ができるなんて…。

 「だから。今度からはここに帰ってきてください」

 絵里はあたしを抱きしめて自分の胸へ強く押し付ける。

 「ここがあなたの場所です。」

 *   *   *

 里佳、君は音を取り戻す事ができた?今、幸せ?あたしは大事な事を取り戻したよ。大切な人ができたんだ。

 そう、青い空に指でくるくると書いてみる。きっとどこかで繋がっている空に、あなたへのメッセージを刻む。よく、掌に書いたように。

 「なにしてるんですか?」

 ねだられて連れて来た、まだシーズンを迎えていない海に、子どものようにはしゃいでいた絵里が、きがつくとあたしのとなりにゴロンと寝っころがっていた。

 「んー。手紙」
 「里佳さんへ?」
 「そう、あたしは幸せだよーって」
 「ほんと?」
 「ほんとうです!」
 「じゃー私も書くぅ!」

 と、絵里が同じようにくるくると空を指でなぞる。

 「何て?」
 「秘密ですっ」

 そういうとまた立ち上がって、どこからやってきたのか、小さな子犬と一緒に裸足で波をけり、遊び始める。

 ごめん。ほんとはなんて書いたかわかった。
 読めるんだよね、慣れでさ。

 絵里の言葉も一緒に、あたし達の声はきっと届くよ。彼女にさ。


end.



from 2003年頃の頃 vikeのあとがき
 なんとなく…ノーコメント…。ちょっと前半難しかったにゃー。

from 弥家比奈 2011.6.21
とんでもなくエロイカwwよくこんなの書いてたんだわ、私。そしてはずかしいwww
あの時のわたしに敬意をはらって今回は殆どリテイクしてませんが何か?ww
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弥家比奈

Author:弥家比奈
2006/10/26/Start
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