ヒメユリ

百合小説サークル「ヒメユリ*ひメユり」です。主に活動と百合について語ります。
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オリジナル短編百合小説「女の子のじかん」

昔の生もの二次小説の名前と設定を変えてリテイクしてみたww
リテイク前を読んだ事がある人は奇特な人です、ありがとうwww
あ、当然の事ながら「百合」です。

その内「ひメユり」の方にも上げます。

タイトル
「女の子のじかん」

追記からどうぞ。

 「女の子のじかん」


 「広坂(ひろさか)先輩のことで悩みごと?」
 
 マコトがきょとんとして、顔を2、3度かいた。
 ここは部活終了後の、とある女子校の吹奏楽部室。今日はミキちゃんは用事があっていない。本当はミキちゃんに相談してみたかったんだけど、彼女は来年、海外にある姉妹提携している高校に音楽推薦留学?なんてささやかれてる分、妙にぴりぴりしてて怖い。だからもう一人の友人であるマコトに聞いてみることにした。

 「んー、アミちゃんは広坂先輩と付き合ってるんでしょ?じゃ、別にわたしじゃなくても、直接広坂先輩に聞けばいいのにぃ」

 マコトは真剣に聞いてくれてるんだろーけど、何故か変顔をしている。ミキちゃんなら『キモイ』ってスッパリ言いのけちゃうとこだけど。
 だいたい、本人に聞くって、本人に対しての悩みをナゼいきなりに本人に直接打ち明けるんだか…、マコトは相変わらず論点が微妙にずれている。

 相談の内容はアレだ、端から見たら「ウワー、どうでもいい」ってな事かもしれない。でも、15歳から見た17歳っていうのはそりゃぁもう結構なオトナな訳で、ウチは女子校だから珍しくもないけど、いわゆる「彼女×彼女」という世界で、あ、別に先輩は登場する時に真っ赤なバラを背負って出て来るとか、「ごきげんよう、お姉様」なんていうキャラじゃちっともなくて、もっと…なんていうか、手をつないで歩くし、キスとかもするし…て、だんだん何を言ってるのかわからなくなって来たけど、取りあえず、わたしの彼女は2つ上の女の先輩であるという事、それでその先輩の様子が最近ちょっと変だな、なんて思う事、それが割と生活の中心に来るくらい心配になってしまった事、これはきっとこのくらいの年頃には良くある悩み、なはず。

 「あのね、広坂先輩ね、最近、」

 私がすこし口ごもると、マコトは何々??と顔を寄せてくる。

 「んもぉ!顔ちかぃっ!!ってば、マコト!」
 「えへ、えへへ~」

 近づいてきたマコトの顔をぐいっと押して退けると、マコトはそのままググッとのけぞって両手を上に上げてわーーーっと振る。変態っぽいからやめなよ、それ、マコト。

 「ん、んんっ!…あのね、広坂先輩、ほかに好きな人でもいるのかなって、最近の態度見てて思うんだ…」

 気を取り直して、内容を伝えると、私の言葉にえー!っと大げさにおののいて、そーなのぉー?と大きな声で叫ぶ。って…。めっちゃくちゃ注目されちゃうから、ぜんぜん内緒話にならないんだけど…。やっぱり相談する人間違えたかな…。

 「でもでもぉ~…、もしかして、心当たりがあるの?アミちゃぁん」
 「んー、ないことも、ないかな。」
 「ってことはあるってことだよね~!へー!!」

 難しい顔をして腕組み。うーんと首をひねって、それから…「だれ?」とズバッと核心を貫く。…。言っても良いものかどうか少し迷ったけど、最初から相談はするつもりだったから、わたしはその人の名前をズバリと答えた。

 「男前で定評のある…陸上部の市川(いちかわ)先輩…マコトの幼なじみでしょ?」

 すると、マコトは少し驚いてうーん、とうなずいて、確かに、市川先輩は半年前に元カノである、川本(かわもと)先輩と別れたんだよねーと、納得していた。マコトなら、そりゃないでしょ、と笑い飛ばしてくれると思ったんだけど…逆に、同意された事で私の猜疑心が更に高まってしまった。
 マコトと市川先輩とは小学生の頃から二人で遊んだりしている仲らしい。あ、それからマコトは逆に川本先輩とミキちゃんと3人で遊んだりしている。どんだけ人懐っこいんだか…。…とにかく、市川先輩と近いところにいる人だから、マコトの言葉は信憑性が高くなって、余計に不安になる。

 「あ、でもねー、いっちゃん先輩はあぁ見えて意外と女の子なんだよ~?一途何だよぉ、すっごく、もうちょっとサバサバしてたらあたし本当に惚れてるんだろーけどなぁ」

 ぽわぽわと幸せそうに語るマコト。

 「じゃ、じゃぁ今もまだ市川先輩は川本先輩のことが好きなの?」

 淡い期待を持って聞いてみると、うーんとうなって、そう言う話はしないからわかんないけど、別れてから市川先輩は無理してるみたいだと、腕を組み替えて首をかしげた。

 「そっか…」
 「確かにいっちゃん先輩、最近広坂先輩とよく遊んでるみたいだけど、でも、川本先輩の時みたいな感じじゃないよー」
 「ホントに?」

 マコトはわたしの問いかけににこっと笑って大きく頷いた。
 
 「あのね、アミちゃん、気のせいかもしれないんだから、あんまし気にしちゃだめだよ~?広坂先輩の事信じてあげなきゃねぇ~」
 「あ…うん、ありがと」

 こういうマコトの優しさは大好き。ミキちゃんが前に『マコトは心の洗濯機や』って言ってたのを思い出した、確かに。会話はいつもグルグルよくわからないけど、終わってみればびっくりするくらい綺麗になってる、みたいな。 …なるほどなー。
 
 ミキちゃんはそんなマコトが大好き。でも、マコトは…。

 「あー、そうだ!ミキちゃんにも聞いてみてあげようか?ミキちゃんは川本先輩と仲良いみたいだし」
 「えっ!?いいよぉ、ミキちゃんは忙しそうだし」

 そもそも今、ミキちゃんがぴりぴりして怖いからマコトに相談したのに。

 「うーんあ、そうかぁ…ミキちゃんはこれからどんどん忙しくなるのかなぁ、なんか遠くへ離れていっちゃうな」
 「推薦留学のこと?」
 「う-ん、まだ本人からは聞いてないし、噂だけどね」

 少しさびしそうな顔のマコト。本当はマコトだってミキちゃんの事好きなんでしょ?でも、何でミキちゃんの気持ちを受け入れてあげないの?
 マコトがミキちゃんの話をするたびにそう思ってしまうけど、イマイチ、ズバリと聞く勇気がない。それに、マコトとミキちゃんの関係ってなんだかとっても不安定で、たまに一緒にいるこっちがどうしていいのかわからなくなる時がある。

 そういえば前に二人がキスをしている現場に出くわしたことがあった。二人ともなんだか大人に見えて、置いてかれたような気がしてさびしかった。気の強い愛ちゃんが少しだけ背の高いまこっちゃんの肩に手を回して、いつもよりぜんぜんかわいらしい女の子に見えて、逆にまこっちゃんはいつものぽわぽわした雰囲気ではなくて、妙に凛々しくて、でも、そんなマコトを見るのはその時が最初で最後だった。

 …いつだっけ?たしか今年の夏くらい?

 てっきり付き合ってるのかと思ったので、なんとなくミキちゃんに聞いたら

 「試しにしてみただけやし、女の子とキスしたことなかったから、どんなもんなんかなーってね」

 でも、それが嘘だっていうのはすぐにわかった。結局突き詰めて、最後には観念して

 「ミキの事は好きやけど、付き合えん、言われた、…アホらしっ」といって、彼女は唇をかんだ。

 
  * * *


 マコトに相談して3日くらいしてから、突然ミキちゃんからメールが入った。
 
 『出て来い!』
 
 相変わらずの短文メール。ちょうど学校も部活もなかったからとりあえず、言われた通り、出かけることにした。

 今はもうすっかり慣れてしまったけど、進学の為に、田舎からこっちに出てきたばかりの頃は、周りのテンポについていけなくてよく、ばたばたと遅れて歩いてた。
 広坂先輩は、そんなわたしの腕をガシッと掴んで、わたしを守る様に先導し、駆け抜けるように人ごみを泳いだ。あの時は初夏だと言うのに、わたしの体の回りだけ、夏日の様に暑かった。最初の頃の想い出はどれをとっても恍惚で、思い出すたびに懐かしさと切なさが押し寄せてくる。

 「なんて顔してるんや」

 ひょいっとミキちゃんの顔が飛び込んでくる。

 「あぅ、あ、うん。ごめ~ん…」

 あわてて誤ると、ミキちゃんが、わたしの顔の前にほれっと肉まんを差し出す。

 「うまそやろ?あたし、朝からなんも食べてなかったから、途中で買った、食べや」

 差し出された肉まんを受け取るとミキちゃんはニコッと笑っていこか。と歩き始めた。
ミキちゃんとは久々に2人で歩く。だいたい、ミキちゃんと遊ぶ時はマコトがいるもの。

 「時間ないから、はよいくで」

 そう、ミキちゃんに連れてこられた駅。わけの分からないままチケットを買って、電車の中に連れこまれる。いったいどこへ行こうというのだろ?

 電車の中は思ったより空いていて、ゆったりとした時間が流れている。しばらくするとゆっくりと発車してガタゴトと規則的な音で私たちを運ぶ。

 「なんか前に合宿でみーんなで電車乗ったン思い出すなぁ」

 ミキちゃんは深めにかぶったキャップを指先でちょっと上に上げてキシシと笑う。あー。確かにあれは楽しかったかも。みんなで大騒ぎしたっけ?ミキちゃんのくれた肉まんをほおばりながら、あの時の話を思い出して、2人でくすくす笑いながら電車に揺られる。
 時折入るミキちゃんのきっついつっこみも、今日は心地いい。

 電車は景色をビュンビュン追い抜いてだんだんと無機質な色から深い緑が多い色彩へと変わっていく。

 「はい、お茶」

 相変わらず、世話好きのミキちゃん。彼女に差し出された飲みかけのペットボトルをラッパ飲みする。この辺はなんかもう、女子校の女子高生をやってると気にしない。そんな感じ。

 「日差しがあったかいなー。眠たなるなー」

 2月の半ばと言うには温かすぎる日差しだった。ふわわっと隣でミキちゃんがあくびをするもんだから私にまでうつって大あくびをしてしまった。

 「うつってるやん、アミ、可愛いの」
 「もぉーミキちゃんこそ、大あくびぃ」

 フヒヒと笑いあって肩を寄せて頭をこつんとお互いにつけた。穏やかな時間が流れてい
く。凄く幸せなのかもしれない。


 「あーお尻イター…、ふー、じっとするんもつらいわ」

 腰をポコポコ叩きながら伸びをするミキちゃん。

 電車を2、3度乗り継いで海へやってきた。
 シーズンオフの海だけど、波に乗ってるサーファーなお兄さん達で割りとにぎわっていた。声かけられると面倒やろ?とミキちゃんが急に私の手を引いて人がまばらな海岸を歩く。広坂先輩と手をつないでいる時みたいに、溺れそうなくらいドキドキはしない。むしろ、ほっとする。

 「やっぱ海はさむいわー!!、けど、えぇね、すこーんっと開けてて」

 防波堤の上で手を広げてワーッと発声してる。それをみてくすくす笑っているとミキちゃんはチロッと横目で私を見て突然、
 
 「広坂さんの事、好きか?」

 と聞いてきた。ホントに突然だったけどあーやっぱり。と内心思った。きっとマコトがしゃべったんだなって、今日ミキちゃんに誘われた時点で分かってたから。
 私が黙ってうつむいていると

 「アミ、ウチら付きあおか?」

 という声と共にミキちゃんがふわっと降りてきた。腕をワッカにして、すぽっと私を包み込む。ちょっとだけ、それもいいかなーって思った。

 「あたしならもっと大切にするよ」

 耳に息を吹きかけるような吐息交じりの声でミキちゃんが囁く。そうかもしれない。…だけどね…。

 「それはできないよー。私も、ミキちゃんもね」
 
 ミキちゃんが暖かかったから背中に手を回してぎゅっと細い体を抱きしめた。

 「それもそやな」

 とミキちゃんもつぶやいた。凄く切ない声で。

 このままお互いがお互いを好きになれたら凄く幸せだと思う。こんなに優しい時間を過ごせるから。でも、私は広坂先輩を、ミキちゃんはマコトを好きで、今はそこしか見えないから。だから。ダメなんだよね?

 「アミ、広坂さんのこと諦めたらあかんよ?」
 「ミキちゃんこそ、マコトの事、諦めたらダメだよ?」

 おでこをこつんと合わせて笑いあう。

 「じゃ、約束のチュウしよか」
 
 すぐ目の前にあるミキちゃんの口元がニッとつりあがる。もぉー、キス魔かっ!と笑って、それでもわたしは目を閉じた。ふたりで唇を軽く合わせて、それぞれ別の人への思いを確かめる。

 「えへへ」

 顔を離して抱き合ったまま笑う。凄く滑稽だけど幸せ。友達とか、親友とか、凄くいいなって思う。そんなミキちゃんも、マコトの言う通り、留学とかしちゃうのかな?なんて思う。うちは中学から高校はエスカレーターだから高校生になってもまた3人で一緒につるむのが当たり前だと思っていたから、ちょっと寂しい。

 「ねー、いっちゃうの?留学」

 ミキちゃんの耳元でこっそりと聞いてみる。すると、ミキちゃんはうーんとうなって、たぶんナイなと答えた。
 
 「あれ、そうなんだ?」
 「なんや、行って欲しかった?」
 「ち、がうよ!やだよ、寂しいもん」
 「…ウハー!やっぱりアミ可愛えぇわ!」

 ミキちゃんはそう言いながらわたしのほっぺに自分のほっぺをグリグリとこすりつけた。それから、はー、もうホントにアミ貰ったろうかなぁなんて冗談もつぶやく。

 「あたしもアミみたいに、もっと自分をぶつけられたらえぇのになぁ…」

 ミキちゃんは伏し目がちでつぶやく。…なるほど、ミキちゃんはマコトに対して素直になれないんだな。彼女のさっきの言葉でなんとなくそれがわかった。

 「あ、ちべたっ!」

 少しどんよりと重い雲がかかる天上からヒラヒラと雪が舞い降りてミキちゃんの鼻のてっぺんで消える。ミキちゃんはコシコシと鼻をこする。

 「やだぁ~ミキちゃん鼻がまっかだょ~!」
 「えぇんやっ!アミかて、真っ赤やで!」

 ミキちゃんに鼻をぷにっと指でつままれた。その間にも私たちの肩や髪に雪が落ちて来る。ふわふわと幻想的な世界が広がる。

 「あんな、アミ、あたし、もっとマコトの前で素直になる。ほやから、アミも広坂さんに遠慮なんかしてたらあかんよ?」
 「うん…そうだね」

 私たちは手をつないで冬の砂浜を駆け抜ける。後になったらきっと、何が楽しかったのか、わからないのだろうけど、それでも今日、ここでこうやってミキちゃんと決心して、約束してナイショでキスしたことは、きっと、今日とは違う、明日へのわたしの勇気にも繋がる。…なんて、とんでもなく恥ずかしい事を考えていたりして。

 「マコトが好きやー!」
 「広坂先輩が好きぃー!」

 突然海に向かってミキちゃんが叫んだので、わたしも続いて、ざぷんと波が叩きつけられる音にかき消されないように大きな声で叫んだ、

 「なーアミ」
 「なに?ミキちゃん。」

  振り返った彼女はとびきりの笑顔でこういった。

 「女の子って、なんかええなっ」

 だからわたしも負けじと思い切り笑顔でうんと頷いた。

from 弥家比奈 2011.6.20
 はい、リテイクものです。某女性アイドルの二次小説だったものを、設定から名前、を変えて、だいぶ加筆したものです。中学生っていう多感なお年頃をふんわりと書いた、私にしては珍しいお話ですよw
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