ヒメユリ

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青い花 SS「2人の王子様とデート」

突然ですが、青い花のふみとアキラのお話を書いてみましたw
身のほど知らずでスイマセンw

ふみ×アキラとかではありません。
4巻ラストのふみの告白より前のお話だと思ってくださいね~。

ブログに直接書いてますから、下の追記部分から読んでみてください。

え?フレプリSS?書きますその内w



「2人の王子様とデート」


朝。いつもと同じ朝。
もうすぐ春が来ると言うのに、まだまだ寒くてお布団の誘惑に勝てない。そんな朝。

「ふーみー、いい加減に起きなさいよー」
「はぁ~い」

小さな声で返事をすると全部お布団が声を持って行く。
もぞもぞとお布団の中で動いて自分の手のひらを見つめた。
なんとなく感触が残ってる気がする。

あーちゃんの手の平。

最近よく見る夢。
お花が一杯咲いた中であーちゃんの手を取ってダンスする。
凄く楽しくて凄く幸せな気持ち。
ただ、ずっとクルクルと二人で手をつないで踊ってるだけなんだけど
それでも楽しくてあーちゃんも、わたしもずっと笑ってる。

「クスクス・・」

手のひらをぼんやり眺めていると思い出して思わず笑っちゃう。

「ふみー!!学校に遅れるでしょ!」
ガチャっとドアが開いてお母さんが怒鳴り声と一緒に入って来て、
そのままカーテンを開ける。

「うぁ~」
「うあーじゃないでしょ!!」
「はぁ~いぃ・・・起きるぅ」

お母さんに文字通り「たたき」起こされて学校へ行く準備をした。



「ふーみちゃーん!おはよー!」
「あ、おはよう、あーちゃん」
駅でぼんやり青空を眺めているといつもの様にあーちゃんの元気な声が聞こえる。

「3月ももう半ばなのにさー寒いよねー変だなー」
「そうねー」

あともう少しで春休みに入る。学年末試験が終わったら、実際はほとんど
学校の授業なんてなくて、ただスポーツ大会なんかがあるだけ。
なんだかちょっと気が抜けちゃう。

「ね、ふみちゃん、今日一緒に帰れる?」
「え?あ、うん・・あーちゃん部活は?」
「今日はパス!」

あーちゃんは胸の前に両腕で大きく×印を作る。それでニカッと笑う。
だからわたしも吊られて笑っちゃう。

「じゃ、約束ね!」
「うん!」

あーちゃんに手を振りながらいつもの横断歩道をわたしは足早にわたった。



「ふみー!こいつ抜け駆けー」
「えぇ?」

ぽんちゃんにぐいっと肩を押されて痛がっているモギちゃん。
なにが?と聞くとやっさんが今日はモギーはあーちゃんのお兄ちゃんと
放課後デートする約束をしたらしい・・・。とモギちゃんのおでこを
グリグリと押さえながら教えてくれた。

そっか・・モギちゃんはあーちゃんのお兄ちゃんの事が好きだったんだよね。

「だって・・ば、バレンタインの時にチョコレート渡したからっ・・今日ホワイトデーだし」
半ばごにょごにょと口ごもるようにモギちゃんがわたしたちに白状する。
そこで、初めて今日が3月14日だって事に気がついた。

「あーーーーーー!!!」
「うわっなに!?ふみっ」

わ、わすれてた・・わたし、あーちゃんからチョコレート貰ったんだった・・。
お返ししなきゃいけないのにぃ~っっ

「突然なによ、ふみ」
「どうしよう・・わたしあーちゃんに何も用意してないよぉ」
「は?」

やっさんとぽんちゃんは顔を見合わせて首をひねる。
モギちゃんが、バレンタインのお返し?と聞いて来たのでわたしは2度、3度
頭を縦に振った。

「あぁ~!ふみぃ~!!おまえもかー!!」
「キャーっ」
襲いかかって来そうなやっさんをモギちゃんとぽんちゃんが必死に押さえてる。
って・・もしかして、だから今日あーちゃんはわたしを帰りに誘ったのかな・・。
だったら・・・

「まずい・・・」
「話をきけーふみぃー!!」
「わぁ~!!やっさんストォーップ!!」



午後の生徒集会なんてほとんど頭に入っていない状態で、わたしは必死に悩んだ。
あーちゃんに今日、とつぜん予定が入っちゃったとか・・メールしようかなぁ・・
でもそれだとあーちゃんに逆に悪いし。・・でもすっかり忘れてたーっていうのも
申し訳ないし。

「・・・・駅についちゃった・・」
ぐちゃぐちゃ考えながら歩いているといつもよりも数倍速いペースで駅に
着いてしまった。ポケットから定期を取り出してタッチしようか
どうしようか迷っていた。あー・・・

「どうしよう・・」
「ん?なにが?」
「えぇっ!?」

思わず口にでた「どうしよう」に聞き慣れた声で返事をされたので
驚いて振り向くとあーちゃんがにっこりと笑っていた。

「あ、あーちゃん・・・」
「ふみちゃん、後ろ詰まってる」
「えぇ!?あぁ!!ご、ごめんなさ・・・」

後ろを振り返ると数人のイライラした顔が見えた。
だから慌てわたしは改札を抜けた。

『ピンポーン』
「わわっ」

で、案の定、定期をタッチし忘れて自動改札の小さな扉が
わたしの通行を妨げた。

「あははは、ふみちゃんたらぁ~」
「むぅーーー」

あーちゃんに笑われて、後ろの人に頭を下げながらもう一度、今度は
ちゃんと定期をタッチして改札を抜けた。



「デート?」
「そ、デート」
電車を待つ間に駅のホームであーちゃんが突然デートしようなんて言い出した。
そりゃね、あたしあーちゃん大好きだし、デート誘ってくれるの嬉しいよ?
けど・・けど、そんなこと言われちゃうと、変に期待しちゃうから・・。

「何が良いかなー、映画見に行く?それともカラオケとか?」
「・・・それ、デートっていうの?」
「えぇ?違うの?」

フフっ・・・思わずわらっちゃった。それってデートっていうか
結構普通にしてることだし。

「じゃ、デートってどんな事するの?」
「え?・・・」

なんとなく杉本先輩を思い出した。・・・窓辺の席に並んで座って
一緒にご飯食べたり、手をつないで歩いたり・・そう言うの・・かな?

「んんー」
悩んでるあーちゃんにわたしはクスクス笑いながらじゃぁと提案してみた。

「じゃぁさ、今度の日曜日に水族館いかない?」
「え?江ノ島の?」
「うん!ほら、デートっぽい」
「でも・・今日じゃないと意味ないし」
「・・・ホワイトデー?」
「そそ!」

わたしはあーちゃんに、実は今日がホワイトデーだと言う事を忘れていて
なにも用意出来なかったから、と伝えると、あーちゃんはんー。と唸って
頷いてから、OKしてくれた。それでも今日はせっかくだからと、お茶して
帰る事にした。



あーちゃんとデート。あーちゃんと江ノ島なんて何度も行ってるから
なんてことないんだろうけど、内心ワクワクしてる。

だって、デート。あーちゃんにとって何ともない言葉だったかもしれないけれど、
わたしにはとても素敵な響き。『デート』ってなんだか特別。

「お、おしゃれして来たねーふみちゃん!・・あたしも、もっとおしゃれしてくればよかったー」
「うーうん、あーちゃんもとっても可愛い」
「ほんと?」
「うん、ほんと、ほんと」

「いこっか!」あーちゃんが手を差し出してくれたので、なんとなくわたしは
その手を握る。その手のひらは夢の中でダンスする時の手と一緒。
ちいさくて、やわらかくて、あたたかい。

「ふみちゃんは何が見たいー?」
「んーイルカかなー?」
「あたしもソレー!
あーちゃんがちっちゃい子みたいにはしゃぐから、わたしも一緒になって走る。
ぐいぐいと引っ張られるあーちゃんの腕に身を任せて走ると、体がポカポカと
あたたかくなってくる。

「はぁ、はぁ、もーあーちゃん、走るの早いよぉー」
「・・・ふみちゃん!あと10分でイルカショー始まっちゃう!」
「へ?」
「いくよっ!」
「ま、まってぇ~」

息を切らすわたしをおかまいなしに引っ張っていく。
しんどいけど、なんだかうれしい。

「うひゃーやっぱ日曜日だし多いねぇ」
「うん、座るとこあるかな・・・」
「あ、あそこ空いてる!」
あーちゃんが背伸びして空席を見つけてくれたので二人でそこに座る事にした。

「んー、ワクワクするねぇ」
「そーだねぇ」
隣のあーちゃんからキラキラしたオーラが感じられる。とってもワクワクしてるのが
手に取る様にわかるから、誘ってよかったなぁ~とか、内心思ってたり。
わたしの右隣にあーちゃんが座ったから、丁度中央を観る時にあーちゃんの顔が見える。
少しだけぷくっとしたほっぺに長いまつげが時より揺れている。

かわいい・・・

わたしの初恋の人。
いつも、何かあると助けてくれる。そんな人。
いつも、わたしの心の中にずっといる。そんな人。

きっと千津ちゃんの事を好きな時だって・・・
杉本先輩を好きな時だって・・・ずっと。



「おぉ!みてみてふみちゃん!でっかいイカー!でっかいイカー!」
「ほんとぉ!大きい~!」
水槽にへばりつく勢いで二人でのぞいていると大きなイカはゆーっくりと動いて
足をクニクニと動かす。・・・真っ暗な中で、ちょっとこわい・・。
思わずあーちゃんの服の裾を掴むと「ん?」とあーちゃんが振り向いて
「あー」と唸った。

「ふみちゃん、怖いんだ」
「ん―」
「もぉ、仕方ないなぁ~、ほれ」

あーちゃんは手を伸ばしてわたしの手を握った。怖くないよぉー。なんて
まるでちっちゃな子どもをあやすみたいに。

あーちゃんからみたわたしはきっと妹みたいなそんな感じなんだろうな・・
頼りなくて、危なっかしくて、放っておけない・・・。
なんだかなー。同じ年なのに、それってわたし、ちょっと情けない。

「んー、ふみちゃん、楽しくない?」
「え?ううん、楽しいよ?」
「そーかなぁー?なんだかさっきからずーっと暗い顔してるよ?」
「そ、そんなこと・・・」

あーちゃんがわたしの顔を覗き込む。・・・あーもぅ、この顔に問いつめられると・・。

「あのね、わたし、あーちゃんに迷惑ばっかりかけてる駄目な子だなぁって」
「え?なんで?」
「だって、・・しっかりしてないし、頼りないし、すぐに泣いちゃうし・・・」

グルッと水族館を観てそれからあーちゃんの提案で近くの浜辺まで歩いている最中だった。
考え事をしていたからあーちゃんの話に終止うん、うんと相づちをうつだけだったから、
あーちゃんに気づかれちゃったみたい。

「そんなの、昔っからだし」
「むぅ・・だからヤなの。変わりたいなーって」
「そうなの?」
「うん・・・変・・かな?」
「うーうん!全然変じゃないよぉ!・・いいんじゃない?そう言うの」

そろそろ道が砂に変わる頃、あーちゃんはちょっとずつ早足になる。
あーちゃんもこういうとこは子どもだな。
「でもさ、無理はよくないかな」
「あー・・・うん」
「ふみちゃんは泣き虫だけど、駄目じゃないよ。ちゃんと、頑張り屋さんだよ」
「あーちゃん・・」

あーちゃんの優しさにキュンとなる。
杉本先輩といると凄くドキドキしてた。だけどすごく苦しかった。
あーちゃんといるとドキドキはあまりしないけど、すごく安心する。

わたしはあーちゃんが大好き。杉本先輩よりも、千津ちゃんよりも大好き。
あーちゃんがわたしの彼女だったらいいのに・・・。

「うはー!水平線キラキラしてるよー!ねー、ふみちゃーん!」

気がつくと子犬みたいに砂浜を走るあーちゃん。みてるだけでなんだか
こっちまでたのしくなっちゃう。

「あぁ~!砂が入っちゃったー・・と、わっあぁ!!」
「あ、・・こけた・・」

靴の中の砂を取ろうとして、思い切りお尻から砂浜に着地するあーちゃん。
慌ててあーちゃんに駆け寄り、手を差し伸べると、当たり前の様にその手を取り、
引き上げるとひょいっと立ち上がった。

「へへへ、ありがと、なんかふみちゃん王子様みたいだね」
「へ!?」

途端に体がカーっと熱くなり、思わずのけぞってしまう。
「あっっ」
砂に足を取られて、今度はわたしが・・
「ふみちゃんっ」

あーちゃんにパシっと手を取られてグイっと引っ張られる。
フラフラとそのままあーちゃんに抱きとめられる。

「ふぅーセーフ!」
「あ、ありがとぅ・・・」

走り回っていたせいなのか、あーちゃんのほっぺは真っ赤になってる。
きっとわたしのも真っ赤・・うーうん、わたしはきっと顔中真っ赤だ。

「フフフ、あたしもふみちゃんの王子様だね」
「うん、」

昔からそう。あーちゃんはわたしの王子様。


「では姫、お手を拝借」
あーちゃんは得意げにわたしの手をとってゆっくりと砂浜を歩き始めた。
ざぷんざぷんと波がわたしたちの足元ギリギリまで近づいては離れる。

「今年の夏はみんなで海とかいいねぇ」
「そうだねー」
「でも井汲さんは焼けるからイヤっていいそうだなぁ」
「じゃ、ぽんちゃん達を呼ぼう?」
「そうだね!!あ、そう言えば、うちの兄貴とモギーってホントにつきあってるの?」
「うーん・・・まだよくわかんないかな?」
「つーかあんなののどこがいいんだろうねー」

つないだ手を前後に振りながらあーちゃんと長い長い砂浜をゆっくりと歩く。
この先もずーっとこの手を握って一緒に歩いて行けたら良いのに。

「もーすぐ春ですなぁ」
「そーですなぁー・・ウフフフ」

いつかこの思いが叶います様に・・・。


「2人の王子様とデート」おわり

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弥家比奈

Author:弥家比奈
2006/10/26/Start
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